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The Column

偽りの安全保障
クリスチャン・バハ
The Column
2025/07/10

偽りの安全保障

ジェームズ・キャメロン監督が1980年代初頭に人工知能「スカイネット」を構想した当時、それはまだ完全にSFの世界の産物に思われていた。しかし、「人類を脅威とみなして攻撃を開始する兵器システム」という衝撃的な物語によって、彼の映画『ターミネーター』は歴史上最も影響力のある作品の一つとなり、アーノルド・シュワルツェネッガー(我らが“アーニー”)は一躍スーパースターとなった。

だが、その当時のSF的な発想は、今や現実の技術となっている。最新のテクノロジーは、まず軍事分野で応用される。戦闘機、防衛ミサイル、攻撃用ミサイル、そしてドローンは、膨大な計算能力を搭載した精密機械であり、それぞれがデータ収集装置でもある。これらはあらゆる情報を記録し、製造元のサーバーに送信して保存する。そして、その制御ソフトウェアは多くの場合、製造元によるリモートアクセスを通じて定期的にアップデートされる。

中でも、約10億ユーロの費用を要するパトリオットPAC-3システムは、世界で最も高価かつ強力な防空ミサイルの一つであり、現在、欧州で構築が進められている「スカイシールド」に使用されることが決まっている。しかし、このシステムに関する重要な事実として、中央制御ソフトウェア、暗号技術、電子制御系はいずれもアメリカが完全に掌握している。つまり、技術的には遠隔操作でミサイルの機能を停止させる「キルスイッチ」を作動させたり、制御を乗っ取ったりすることも理論上は可能だ。

実際、こうした兵器が、購入した国に向けて使われないという保証は存在しない。それにもかかわらず、なぜオーストリアはこの防空システムへの参加を望み、手元にない数十億ユーロを投じようとしているのだろうか――その理由を、いま一度冷静に問い直す必要がある。

クリスチャン・バハ
スーパーファンド創立者からのゲストコメント   
(*2024年5月4日(日)記事を翻訳編集)


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